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多くの人が初体験の大学受験。どんな心構えで受験期を迎えればいいのか?

これから迎える大学受験。どんな心構えで受験期を迎えればいいのか? また受験期を過ごせばいいのか? 過去問演習の仕方はどうすればいいのか?不安でいっぱいでしょう。そんな受験生の皆さんへ早慶上智への合格者を多く輩出してきた増田塾が培ったノウハウをご紹介します。これさえ読めば受験も受験期も怖くない⁉

 

問題用紙

本質的な実力はなだらかに下降することはあっても急下降はしない

受験期を迎えるにあたって「過去問が解けない」「実力が下がっている気がする」という受験生も今の時期いらっしゃるかもしれません。不安になることもあるでしょう。ただし、

本質としての実力は、他教科を重視しすぎて演習量が足りない等の原因により、なだらかに下降することはあっても急に下降することはありません。

急に下降するのは感覚的な調子であり、本質としての実力ではないのです。

 

逆に実力が急上昇することはあります。読解系に限りますが、読解のコツをつかんだり、自分の欠点を認識でき改善できたりすると、ある時から急に問題が解けるようになるものです。しかし、それもまた感覚的な調子であり、実質的な実力としてまだ定着はしていません。

 

その感覚的な調子を実質的な実力にするためには、自分がつかんだその読解のコツや改善点を言語化して、再現可能な状態にしておくことが重要です。

言語化なき感覚的理解は、一時的なものになる可能性が高い

です。演習していく上での自己研鑽は、言葉にしながら思考していく必要があるのです。

 

以上をふまえると、一般的にスランプと言われるものは、下記のどちらかに当てはまるものだといえます。

 

1、自分の読解を支えていた感覚的理解・システムが失われてしまった(忘れてしまった)状態

2、精神的状態によって、読解への集中力が失われがちな状態

演習量を増やす・そして言語化する

1の原因は二つ考えられます。一つは、

“論理的精読能力のアップによって、そこに読解が偏り、本来の感覚的読解の良さが失われている状態”

もう一つは、

“「読解のコツの感覚的理解」が失われている状態”

です。

 

前者は、たとえば次のような状態です。「今まで精読スキルを持たず単語の意味やわかる箇所からなんとなく文章を読解していたのが、精読できるようになって本文をちゃんと読むようになった。しかし、今度はちゃんと精読しようとしすぎて、なんとなく読むという能力のよさが活きなくなる」というような状態です。この改善策としては、上記のことに意識した上で、演習を積めばよいでしょう。つまり、昔の感覚的読解を思い出しつつ、今の論理的読解との使い分けをし、バランスを探っていくのです。問題演習を重ねることで、ベストバランスを見つけていきます。シンプルに言ってしまえば、

演習量を増やすことが改善策

になります。

 

後者は、「せっかくつかんだ感覚的な理解がなくなってしまった」状態です。改善策としては、過去につかんだ感覚的な理解を手に入れた過程の考え方を反復することです。つまり、昔の調子が良かった時や、調子がよくなっていく経過に行った演習問題で、その時の考え方やその演習から理解したことを思い出していくのです。今度は必ず言語化していってください。スポーツに例えれば、調子のよい時の自分のフォームをビデオで見て、今のフォームと比較することです。

そうすることで、なぜ今調子が悪いのか、どうして昔は調子がよかったのか、を分析し言語化し、認識することができる

のです。

自分が解けない問題は皆も同じ・自らを不安の沼へ落とさないように

2の「精神的に追い詰められている状態によるスランプ」がこの時期の受験生に最もよく見受けられる状態です。スポーツにおいても、プレッシャーがかかっている状態とノープレッシャーの状態における成績はまったく別物になることが往々にしてあります。

 

同様に、入試においてもプレッシャーへの強さ(=本番力)は、大変重要な要素なのです。自分が学習と向き合っている今の感情的な状態(不安など)や、英語及び国語の読解に対しての自分のイメージ(最近できない、難しいものになるとできない等)の、印象・先入観(早稲田は難しくて戦えない、明治の問題は自分には合わない等)、といったものが、自分の読解にかなり影響します。

 

意識を100%目の前の問題の読解に向けることができればよいのですが、

意識の中のかなりの割合がネガティヴな感情的で占めてしまって、読解に集中できない、読解に意識がさけない、という状態がスランプです。

これは地歴には起こりません。英国の読解において、特に難しめの読解においてこの現象はよく起こります。

 

“入試の結果への不安”や、“最近の数字に出た結果からくる不安”、もしくは、“自分の最近の過去問や問題演習の結果が悪いことによるネガティヴイメージ「またできないのではないか」という不安”が意識の大部分を占めてしまっているのです。言い換えれば、技術的側面によるスランプではなく、感情的側面によるスランプです。

 

抜け出すためには、まず、上記の構造が自分に起こっていることを理解しなければなりません。個人個人の状態や原因はそれぞれ違うので、それを自分で認識するために上記をふまえつつ、それらを言語化して考えていく作業が必要でしょう。

自分が読んで難しいと思う英語長文や古文であれば、周りの人も難しいと思っているはずです。大学側も、難しい文章や部分がすべて正しく読めるかどうかを問うているのではなく、難しい文章や部分への対応方法、処理の仕方を問うている

のです。つまり、

わからないなりにどのように類推し、どのように読んだ(予測した)か、を見ている

のです。しかし、精神的に追い詰められているとそうは考えられません。「私だけ読めない、どうしよう」、「また読めない、どうしよう」と思ってしまいます。

「私が読めないのだから、他の人もすらすら読めるわけはない」「この問題は、難しくて読みづらい中でどれだけ踏ん張れるか、なんとか読みこなすかが勝負だ!」

と考えるのがベストなのですが、そのように考えられずに、不安の感情が意識を占めてしまうのです。なので今まで述べたように考えようと自分に言い聞かせてください。

自分でどうにかできるところは頑張るが、自分にはどうにもできないことは諦める、という覚悟

心理学的にいえば、目標を達成している自分の未来(自分へのノルマ)に自分の半身を置き、そこに自分を結び付けられないかもしれない、という恐怖が不安の原因です。「できなければできないで仕方がない。そこから原因と次への改善策を見出していけばそれでいい」「できるときはできて、できないときはできないのだから、それは仕方がないことだ。後から復習して、それを次に活かしていけばそれでいい」「合否の結果は大学が決めることで、自分が決めることではない。精一杯全力を尽くすが、あとは好きにしてもらって構わない」

 

などという考え方。さらにもっと極端な例では

「できなかったとしても(落ちたとしても)、すべてが終わりなわけでも死ぬわけでもない。なるようになるだけだから、思い切って行こう」

という考え方ができるかどうかなのです。

 

「できなかったらどうしよう」「もう後がないから絶対に受かろう」と考えるのではなく、

ポジティヴな「諦念」こそが、本番や直前期の力を生む

のです。“人事を尽くして天命を俟つ”という言葉があります。それは、

自分の力で石にしがみついてでも合格を掴み取る、という意識ではなく、勝負の結果は自分の意思と力ですべて決まるものではない、という諦念

です。

 

自分でどうにかできるところは頑張るが、自分にはどうにもできないことは諦める、という覚悟

です。しかし、その諦念は、ネガティヴで投げやりな諦めではありません。自分がやるべきことをやり続け、残りの時間を懸命に過ごした結果がいかなるものであれ、それを受け容れようとする覚悟であり、その結果を信頼する運命論です。これがポジティヴシンキングの本質です。

 

そしてそれは

「どのような未来が来たとしても、それは今の集積なのだから、今を(ある程度)懸命に誠意を持って生きているならば、見た目は悪くても悪いものにはならないだろう」

ということなのです。勝負事は、相手もあれば、その時の条件(入試問題の自分への適合具合)もあります。

 

結果を信頼し諦める。たとえ、どんな結果が出ようとも、そこには「今まで自分が頑張った分のものが待っているはずだ」と信頼しすればこそ、心の平静が得られるのだと思います。

 

そして事実、そのような必然的な未来が待っているものだ、と心理学者ユングは言います。

 

“我々「人間」の無意識の相乗効果によって、必然的にそうなるべきだと思える未来に近づいていき、そしてそうなる”

とユングは提唱しています。このように自分の未来を信頼して「諦めて」みてください。自分の弱さもダメさも不安も自信のなさも、そういうものもすべて否定せずに一緒に受け入れて、しかし甘えずに最後まで戦いきったならば、その先に悪い未来があるはずがありません。残りの時間でできる限り、そういう「流れ」を作っていきましょう。

過去問演習へのアドバイス

過去問演習のやり方を整理して(言い換えて)書いておきます。それは、

どうしてもわかってほしいことで、読解が急上昇するためのカギがここにあるから

です。《 》には、かける時間の目安を書いておきます(90分の演習として)。また英国過去問演習の復習時間の目安は、制限時間の半分から同時間までです(45~90分)。

 

過去問演習-STEP1

 

時間制限下で、場合によっては3~5分程度少なく設定して(本番対策として有効)、過去問演習をする。全大問通して(分割実施不能)実施。

 

過去問演習-STEP2

 

答えを見る前に、深く考えられなかったところ、悩んだところ、わからなかったところ(特に2択で困ったところ)を再考する(それでもわからなければすぐ諦める)。《10~20分》

 

過去問演習-STEP3

 

解答を見て、○と×だけを付け、悩んでたまたまあっていたところも含めて、以下の思考を自分で行う(ノートに書いて言語化しながら)。下記がまるで分からない設問は飛ばす。《STEP4と合わせて30~45分》

 

①なぜ、答えはこの選択肢になるのか。

②どうして自分が選んだ答えは、正解よりもまずい(間違っている)といえるのか。

③どうして自分は間違えてしまったのか。(間違えても仕方がなかったと言えるか)

④間違える自分に足りないことは何か。

⑤その④で見つけた足りない力を補うためには、これからどう考えるようにすればよいか。

 

過去問演習-STEP4

 

解答解説・全訳を読んで、もう一度間違えた所・悩んで確信は持てなかったがあっていた箇所で下記のことを考える。

 

①間違えた設問はできなければならなかったか。今の能力でも正解できたか。言い換えれば、何回やっても間違える、間違えても仕方がないと言えるか、思えるか。自分で解答解説に納得できず、答えが合っているのか疑問に思う場合は、その不正解は仕方がなかったのか。

②できなければならなかったと判断する問題については、なにが足りなかったからできなかったのか。次からどう考えればよいのか。

③その自分に足りない力を補うためには、次の演習から何に気をつけていくべきか。

 

以上のことから導き出された自分の読解の欠点と改善策を、次からの演習のために言語化して文章にして残していくこと。考えても原因や改善策がわからない設問は放置してかまいません。大切なのは、

間違える度に毎回「できない原因はどこにあるのだろう」「次からどうすればよいのだろう」と考える

ことです。上記STEP3,STEP4をやってみてもそれらを見いだせない問題は、スルーしてかまいません。最低でも全体の20%はそういう設問(得られるものが見えない設問)があると思います。そこにこだわることなく、自分で見いだせるところから多くが学べます。

思考は現実化する

英国の読解は、なだらかにできるようになるのではなく、ある日突然読めるようになります。そうなる自分をイメージして、「そうなったらいい」「そうなれるはずだ」と思いながら演習を続けることが大切です。マイナスなものを頭に描きながら演習をしても、未来はプラスにはならないのです。脳科学的には、むしろそのマイナスな未来に近づいていきます。

 

言葉も同じです。「落ちる、絶対落ちる」と言い続ければ、不合格に近づいていくでしょう。中澤先生(教務企画部部長)の推奨する「否定語の撲滅」ができるといいですが、それができなくても、愚痴や弱音はバッと吐き出しバッと切り、弱っている状態を長く続け癒しを求めつづけるのはやめましょう。自分の弱さを甘やかしていることになるので、成長しなくなります。

 

ネガティヴシンキングは、未来に起こる悲しいことに対する事前準備という自己防衛であり、心の弱さから来ます。もちろんそれは、悪いことではありません。しかしユングの言うように、

ネガティヴな思考の先にはポジティヴな未来は起きづらい

ものです。だから、言葉に出さなくてもいいので自分のポジティヴな未来を思い浮かべながら、残りの時間を過ごすようにできればよいと思います。頑張って残りの時間を、へこみながらも下を向かず何度でも立ち上がりたくましく走りきってください。

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